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第25回●野口雨情(1882〜1945)

シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた

シャボン玉消えた
飛ばずに消えた
生まれてすぐに
こわれて消えた
かぜかぜ吹くな
シャボン玉とばそ

 「十五夜お月さん」「七つの子」「赤い靴」「シャボン玉」「雨降お月さん」「こがね虫」・・・こう並べると、もう誰だかおわかりだろう。北原白秋、西條八十とならび三大童謡詩人といわれる野口雨情、本名野口英吉である。右の歌は幼いころ誰もが口ずさんだ名歌だ。

 雨情は22歳で高塩ひろと結婚する。1908年、長女誕生。しかしわずか7日でなくなってしまう。

 この「シャボン玉」は、幼くして儚く逝ってしまったその娘への想いを歌ったものだという説が強い。精神的にも苦しんだ様子がうかがえる。そのことが重く糸をひいたのか、ひろとは33歳の時に協議離婚している。

 そして3年後には中里つると再婚。しかし雨情の年譜を見て感じるのは、激動の時代に翻弄されて生きた、ということである。

 例えば、1984年に日清戦争が始まると、1904年には日露戦争、そして1914年第一次世界大戦に突入、1923年関東大震災に遭い、1931年には満州事変、1936年の日中戦争から大東亜戦争へと突入していく。

 その悲惨な戦争が終戦を迎えた年に63歳で亡くなっているのだ。心休まる時、平安な時など片時もなかったように思う。

 にもかかわらず雨情は童謡詩人として、たくさんの名作を残したことができたという事実は何を物語るのだろう。悲惨なものに対していつも慈しみの目を持って生きたということができないだろうか。

 さて本題に戻ろう。

 ところでそんな彼の作品の中に童謡らしくない「枯れすすき」という作品があるのだが、ご存知だろうか。

 これは関東大震災のあった年、すなわち大正12年「船頭小唄」と改題して中山晋平が曲をつけて発表、日本で最初のスターといわれた栗島すみ子主演で松竹が映画化し空前の大ヒットをした。何しろ90日間という当時としては考えられないロングランを記録したのだ。

 ずっと下って57年(昭和32年)には「雨情物語」というタイトルの映画が森繁久弥主演で作られ、これがまたまた大ヒット。雨情の放浪生活をあますところなく描いている。この時劇中で歌われたのが先の「おれは河原の枯れすすき・・・」で、今でもよく耳にする歌なのだ。

 この映画は、実録ではなく、時雨音羽原作の完全なるフィクションになっている。

 雨情が各地を放浪したことは知られているが、故郷でもある茨城県下磯原に長い旅から帰ってきてその放浪時代を回想するという設定だ。

 もちろん主役の雨情は森繁久弥が演じている。故郷の友人たちやその妹役には扇千景や千秋実らが脇を固めている。

[あらすじ]

 地元では随一であった素封家の野口家だったが、既に家は傾き、台所は火の車だった。そこで英吉(雨情)は富豪・大浦家の娘・しずと政略結婚させられる。

 しずは文学には無関心。雨情の詩に対しても理解しなかったという。やがて男の子が生まれたが、ついに野口家は没落、整理されてしまった。

 そんな雨情の心を慰めてくれたのは、以前から愛し合っていた芸者・加代だった。しかしそのことを知ったしずの兄は、無理やりふたりが会えないようにしてしまう。

 加代は町を去る。雨情も加代を追って家を出るが、こうして漂白の旅が始まる。加代が北海道にいると聞いて探しにゆくが会えず、やむなく故郷に戻る。

 そこで、友人の作曲家・中山晋平と水郷に船を浮かべ、「これからも新しい歌を作って行こう」と誓い合うのだった。こうして名曲「船頭小唄」が生まれた。

 息子・杉雄を連れて上京したおり、偶然にも加代と出会う。しかし加代には男がいて、つかの間の逢瀬を邪魔する。

 故郷に帰ると、周囲からは罵詈雑言の嵐に見舞われ、ついにいたたまれなくなって家を再び出て姿を消した。

 「雲雀のように雲ン中に消えていったら、なんぼかいいでやんしょうが・・・」

 雨情の寂しそうに呟く姿が印象的だ。

 余談になるが、雨情の生家は水戸徳川家につながる名家だという。また若いころ北海道の新聞社でわずか1カ月ほどだが啄木と机を供にしたこともある。天才というものは磁石のように引きあうもののようだ。


第36回●鈴木志郎康(1938〜)

第35回●吉増剛造(1939〜)

第34回●塔和子「風の舞〜闇を拓く光の詩」

第33回●田村隆一「恋の罪」

第32回●高村光太郎「智恵子抄」

第31回●室生犀星作品『あにいもうと』

第30回●宮沢賢治その3〜「グスコーブドリの伝記」

第29回●宮沢賢治、その2「モンスターズクラブ」

第28回●宮澤賢治、その1「わが心の銀河鉄道〜宮澤賢治物語」

第27回●紫式部(生没年不詳)

第26回●西條八十「人間の証明」

第25回●野口雨情(1882〜1945)

第24回●金子みすゞ(1903〜1930)

第23回●日本映画編「寺山修司」

第22回●ホルヘ・ルイス・ボルヘス「デス&コンパス」

第21回●マルグリット・デュラス「インディア・ソング」

第20回●シルヴィア・プラスの『シルヴィア』とテッド・ヒューズ

第19回●エドガー・アラン・ポーの『大鴉』から

第18回●パゾリーニの作品群

第17回●T・S・エリオット『愛しすぎて〜詩人の恋』

第16回●ウォルター・ホイットマン「いまを生きる」

第15回●R・M・リルケ

第14回●エミリー・ディキンソン「ソフィーの選択」

第13回●ランボー&ヴェルレーヌ『太陽と月に背いて』

第12回●プーシキン『オネーギンの恋文』

第11回●コールリッジ『愛と哀しみの果て』

第10回●E・E・カミング『ハンナとその姉妹』

第9回●W・H・オーデン『フォー・ウェディング』

第8回●チャールズ・ブコウスキー『酔いどれ詩人になるまえに』

第7回●パブロ・ネルーダ『イル・ポスティーノ』

第6回●ヨハン・ゲーテ『ゲーテ〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」』

第5回●ジョン・キーツ『ブライトスター いちばん美しい恋の詩(うた)』

第4回●イエーツ『ノーカントリー』と『ミリオンダラー・ベイビー』

第3回●ウイリアム・ワーズワース『草原の輝き』

第2回●フェデリコ・ガルシア・ロルカ『ロルカ暗殺の丘』

第1回●ジャン・コクトー『詩人の血』


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