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第12回●プーシキン『オネーギンの恋文』

 ロシアの作家で詩人だったアレクサンドル・セルゲーヴィッチ・オネーギン(1799〜1837)は、ロシア革命前の貴族の出だった。しかし母親の祖父ガンニバルは黒人奴隷あがりで、ピョートル一世に引き立てられたという特殊な家系でもあった。
 家には多くの詩人や藝術家が出入りしていたせいで、アレクサンドルはその影響を受け、若いころから詩を創作していたという。
 1820年に最初の長編詩「ルスランとリュドミラ」(グリンカがオペラとして作曲)を書く。その後も「ボリス・ゴドノフ」(ムソルグスキーがオペラに作曲)、「エヴゲニー・オネーギン」(チャイコフスキーがこれもオペラに作曲)などを発表、どれもオペラや管弦楽曲になっているので知っている方も多いことだろう。


[あらすじ]

 映画『オネーギンの恋文』は1999年、マーサ・ファインズ監督によるもので、ストーリーはこうだ。

 田舎育ちで何も知らないお嬢様のタチャーナ(リブ・タイラー)は、フランスの上流社会に憧れている。そんなところへ、首都のペテルブルクからやってきたオネーギン(レイフ・ファインズ)は輝かしいばかりに洗練された都会のダンディ男に見えた。当然のように一目惚れしてしまう。
 彼女は、はやる胸の内を熱くしたためたラブレターを、勇気を奮い起こしてオネーギンに渡す。だがにべもなく一蹴されてしまう。彼にとって田舎娘など眼中になかったのだ。
 しかしオネーギンは、ある男とのいさかいが元で旅に出なければならなくなる。
 やがて彼は放浪の旅から戻りペテルブルクに着く。そこで目にしたのは見事な社交界の華に変身していたタチヤーナだった。華麗にワルツを踊り、並み居る紳士を軽くあしらう洗練された淑女になっていたのだ。
 今度はオネーギンが恋に落ちることになる番だった。だが彼女はすでに人妻になっていた。言い寄るオネーギン。しかし、かつての意趣返しのように「私は貞節を守ります」と冷たくあしらうのだった・・・。
 この、身勝手なオネーギンの態度に拒否反応を起こしたファンも多いとか。それはともかく、詩人・プーシキンも、この主人公オネーギンの生き方を地で行くような経験をしているのだ。いわば体験から生まれたと考えても差し支えないだろう。
 プーシキンは宮廷に出入りしていながら、当時台頭していた急進的な思想に次第に傾いていく。そんな中、ナターリアという女性と結婚するのだが、彼女は上流社会では有名な美女だった。
 宮廷は彼の急進的な思想に困惑する。やがて彼を危険人物とみなすようになり、排除しようと策謀をめぐらした。宮廷側はジョルジョ・ダンテスというフランス人に、ナターリアを誘惑しろとそそのかす。巧妙な罠が仕掛けられたのだ。
 その結果、怒ったプーシキンはまんまとその罠にはまり、ダンテスに決闘を申し込むこととなる。もちろん宮廷はダンテスが剣さばきでも有名な男というだということは計算済みだった。
 そして歴史書にも書いてあるようにプーシキンはまんまと命を落とすことになる。「ペンは剣よりも弱かった」わけである。
 プーシキンの長編叙事詩「青銅の騎士」という作品は、サンクトペテルブルクのネヴァ川左岸に建つピョートル大帝の騎馬騎士像の想を得て書かれた、序章90行、第一部164行、第二部222行の3つから成っている大作。

私はおまえが好きだ、ピョートルの建築物よ、
おまえの厳格な、均整のとれた景色が好きだ、
ネヴァ川のゆるやかな流れが、
町の大理石を洗う・・・

 これは序章のなかの有名な部分だが、草鹿外吉の「プーシキン 愛と抵抗の詩人」(新日本出版社)や、池田健太郎の「プーシキン伝」上下巻(中央公論社)などを参照されるとよりよく分かるだろう。
 番外だが、1958年にはアルベルト・ラットアーダ監督、ユーゴスラビア、イタリア、フランス合作による「テンペスト」という映画もある。これはプーシキンの「大尉の娘」という小説が原作になっている。主演はシルヴァーナ・マンガーノだった。懐かしい名前だと思われる人も多かろう。
 「大尉の娘」は14章からなる散文体の小説で、簡単にあらすじをご紹介しよう。
 エカテリーナ2世統治のロシア。過酷な農奴制の下、農民は苦しんでいた。ついにブガチョフらを首謀者とする反乱が起き、コザック兵も同調、敵を撃破しては首都に向かって進軍する。地主貴族たちは次々殺されてゆく。
 その戦場で若い貴族の将校ピョートル・グリニェフはミロニフ大尉の娘と愛し合う。だが、運命のいたずらでブガチョフに関わってしまう。それがもとでふたりの運命は大きく変わるのだった――。
 帝政ロシアで実際に起こったブガチョフの乱を基にしている作品なのだが、なんと日本でもこれが映画になっているから驚き。
 1915年に細山喜代松という監督が「士官の娘」というタイトルで作っている。この監督は「カチューシャ」という作品をヒットさせたことで知られている。


第36回●鈴木志郎康(1938〜)

第35回●吉増剛造(1939〜)

第34回●塔和子「風の舞〜闇を拓く光の詩」

第33回●田村隆一「恋の罪」

第32回●高村光太郎「智恵子抄」

第31回●室生犀星作品『あにいもうと』

第30回●宮沢賢治その3〜「グスコーブドリの伝記」

第29回●宮沢賢治、その2「モンスターズクラブ」

第28回●宮澤賢治、その1「わが心の銀河鉄道〜宮澤賢治物語」

第27回●紫式部(生没年不詳)

第26回●西條八十「人間の証明」

第25回●野口雨情(1882〜1945)

第24回●金子みすゞ(1903〜1930)

第23回●日本映画編「寺山修司」

第22回●ホルヘ・ルイス・ボルヘス「デス&コンパス」

第21回●マルグリット・デュラス「インディア・ソング」

第20回●シルヴィア・プラスの『シルヴィア』とテッド・ヒューズ

第19回●エドガー・アラン・ポーの『大鴉』から

第18回●パゾリーニの作品群

第17回●T・S・エリオット『愛しすぎて〜詩人の恋』

第16回●ウォルター・ホイットマン「いまを生きる」

第15回●R・M・リルケ

第14回●エミリー・ディキンソン「ソフィーの選択」

第13回●ランボー&ヴェルレーヌ『太陽と月に背いて』

第12回●プーシキン『オネーギンの恋文』

第11回●コールリッジ『愛と哀しみの果て』

第10回●E・E・カミング『ハンナとその姉妹』

第9回●W・H・オーデン『フォー・ウェディング』

第8回●チャールズ・ブコウスキー『酔いどれ詩人になるまえに』

第7回●パブロ・ネルーダ『イル・ポスティーノ』

第6回●ヨハン・ゲーテ『ゲーテ〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」』

第5回●ジョン・キーツ『ブライトスター いちばん美しい恋の詩(うた)』

第4回●イエーツ『ノーカントリー』と『ミリオンダラー・ベイビー』

第3回●ウイリアム・ワーズワース『草原の輝き』

第2回●フェデリコ・ガルシア・ロルカ『ロルカ暗殺の丘』

第1回●ジャン・コクトー『詩人の血』


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