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第10回●E・E・カミング『ハンナとその姉妹』

 「フォー・ウェディング」が出たからには、この映画を忘れるわけにはいかないだろう。同じラブコメという範疇にくくれるが、こちらの方が先輩格と言える。「ハンナとその姉妹」(1986年)はウディ・アレン監督の代表作に1本でもある。
 こちらも劇中で、カミングの詩が女の口説き文句として効果的に使われている。

[あらすじ]

まず、物語を紹介しよう。

 NYのマンハッタンに住む三姉妹の長女ハンナ(ミア・ファロー)は夫のエリオット(マイケル・ケイン)とうまくいっており、家庭円満と見えた。
 ハンナの家は芸能一家で、ハンナも女優。その日も毎年恒例の感謝祭パーティーが行われ盛り上がっていた。三女のリー(バーバラ・ハーシー)は画商のフレデリック(マックス・フォン・シドー)と同棲中。しかしこのところ不満がたまっている。
 そんな時酔った勢いでエリオットとリーが過ちを犯してしまう。しかもエリオットはすっかりリーにのぼせ上がって・・・。
 次女のホリー(ダイアン・スゥイート)はと言えば、陽気な性格だが、ずぼらと来ている。恋愛をしてもいつも中途半端だし女優業もパットしない。姉のハンナはそれが心配の種なのだ。
 ホリーはやがて友人と料理店を始めるが、それもうまくいかない。そんな時、ハンナの前夫ミッキー(ウディ・アレン)がやってくる。姉のハンナとは離婚後も友達付き合いしている関係だ。ホリーは女優に見切りを付け小説を書いてみる。するとそれがベストセラーに。そしてミッキーと急接近して結ばれることに。
 一方リーはフレデリックを捨てるが、エリオットはハンナを捨てきれず、リーとの関係を精算し元の鞘に収まる。
 かなり込み入った人間模様が見事にうまくはまって、さすがウディ・アレンだと唸る。
 さて映画の中では、エリオットがリーの後をつけて書店に入り、そこでリーにカミングスの詩を朗読して口説くという設定になっている。

「どこかへ私は旅したことがない」

どこかへ私は喜んで越えて、旅をしたことがない
どんな経験を、あなたの目は、彼らの沈黙を持っている
あなたの最も弱々しいな手招きで私を囲むことは
あるいはその彼らがあまりにも近くなので、私は触れることができない

あなたの少しだけの外観は、楽々と私を明らかにするつもりだ
私は指のように自分自身を閉ざしているものの
春が開くようにするには、花びら一人でいつも花びら開く
(巧みに触れて)彼女は、最初のバラ

またはあなたの願いが私を閉じるためになる場合、私だと
私の人生は突然、非常に美しく閉じてしまう
そして時にこの花の想像の心臓 であるべき
雪は慎重にどこへ降るだろう

我々がこの世界で知覚するものは何もないに等しい
あなたの強烈なもろさの力、その処方
その国の色を私に強いる
それぞれ呼吸で死と永遠をレンダリング

(私はそれを閉じることについて、何であるかを知らない
と開き、私の中の唯一の何かが理解
あなたの目の声は)すべてのバラよりも深い
ない。そうであっても誰も、雨がこのような小さな手を持っていない

 この難解な詩の作者、E・E・カミングス(1894〜1962年)の本名はエドワード・エスリン・カミングスという。アメリカのマサチューセッツ州、ケンブリッジに生まれている。父親はハーバード大学の社会・政治学教授。つまりアカデミックな家庭だったわけだ。そのせいかすでに10歳で詩を書いたとされる。
 ハーバード大学に進む。1917年に卒業すると、メディカルサービスに従事するため、ハージェンス救急隊に入隊、パリに派遣される。しかし公然と平和主義を口にしていたのが災いしスパイの容疑で逮捕されたこともあった。
 1919年には友人の妻だったエレイン・オアと不倫(後に結婚するがわずか9か月で離婚)、娘ナンシーが生まれている。
 その後陸軍の歩兵師団に徴兵され、除隊後はパリで2年間暮らし、パブロ・ピカソらと交流を深めた。
 1929年にアン・ミネリー・バートンと再婚したが3年後には別れている。そして1932年に、ファッションモデルで写真家のマリオ・モアハウスと一緒になり1962年に67歳でなくなるまで離れることはなかった。
 カミングスの詩は愛や自然を風刺に包んで歌うことが多いが、なんといってもその句読点が散らばったりして、声を出して読まないと意味が通じないような独特のものだ。第一詩集「チューリップと煙突」(1923年)からすでにそのエキセントリックな方法論が見て取れる。例えば次のような詩がそうだ。初めて読む読者はのけぞるだろう。

1(a

le
af
fa

ll

s)
one
l

iness
『1(a leaf falls)oneliness』
    これを詩人の藤富保男は次のように訳している。
1(ま

いの
葉が
おち
てい
る)
さびし


のひとしお
       詩集「95編の詩」(1958)


第36回●鈴木志郎康(1938〜)

第35回●吉増剛造(1939〜)

第34回●塔和子「風の舞〜闇を拓く光の詩」

第33回●田村隆一「恋の罪」

第32回●高村光太郎「智恵子抄」

第31回●室生犀星作品『あにいもうと』

第30回●宮沢賢治その3〜「グスコーブドリの伝記」

第29回●宮沢賢治、その2「モンスターズクラブ」

第28回●宮澤賢治、その1「わが心の銀河鉄道〜宮澤賢治物語」

第27回●紫式部(生没年不詳)

第26回●西條八十「人間の証明」

第25回●野口雨情(1882〜1945)

第24回●金子みすゞ(1903〜1930)

第23回●日本映画編「寺山修司」

第22回●ホルヘ・ルイス・ボルヘス「デス&コンパス」

第21回●マルグリット・デュラス「インディア・ソング」

第20回●シルヴィア・プラスの『シルヴィア』とテッド・ヒューズ

第19回●エドガー・アラン・ポーの『大鴉』から

第18回●パゾリーニの作品群

第17回●T・S・エリオット『愛しすぎて〜詩人の恋』

第16回●ウォルター・ホイットマン「いまを生きる」

第15回●R・M・リルケ

第14回●エミリー・ディキンソン「ソフィーの選択」

第13回●ランボー&ヴェルレーヌ『太陽と月に背いて』

第12回●プーシキン『オネーギンの恋文』

第11回●コールリッジ『愛と哀しみの果て』

第10回●E・E・カミング『ハンナとその姉妹』

第9回●W・H・オーデン『フォー・ウェディング』

第8回●チャールズ・ブコウスキー『酔いどれ詩人になるまえに』

第7回●パブロ・ネルーダ『イル・ポスティーノ』

第6回●ヨハン・ゲーテ『ゲーテ〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」』

第5回●ジョン・キーツ『ブライトスター いちばん美しい恋の詩(うた)』

第4回●イエーツ『ノーカントリー』と『ミリオンダラー・ベイビー』

第3回●ウイリアム・ワーズワース『草原の輝き』

第2回●フェデリコ・ガルシア・ロルカ『ロルカ暗殺の丘』

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