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第2回●フェデリコ・ガルシア・ロルカ『ロルカ暗殺の丘』

 次に20世紀で忘れてならないのが、フェデリコ・ガルシア・ロルカ(1898〜1936)ではないだろうか。スペインを代表する詩人だ。

 フランコ率いるファシスト軍に捕まり、グラナダ郊外のビスナールという村で、3人のレジスタンスと共に処刑されたことはあまりにも有名だが、その時の状況は現在でも詳しくは判っていない。

 生まれてすぐに小児マヒを罹い、軽い症状が残る。以来足を引きずるようにして歩いたが、ロルカはそのことをずっと悩んでいたと言われている。

 1918年に処女詩集「印象と風景」を出版するが、世間からはまったく無視される。1928年の詩集「ジプシー歌集」が評判となり、名声が高まる。

 画家のサルバトール・ダリや映画監督のルイス・ブニュエルと親しかった。

 1933年の戯曲「血の婚礼」初演が大反響を呼んだ。一説には彼もまた同性愛者だったといわれている。

 このロルカを主人公にした映画が1997年に公開されている。

 『ロルカ暗殺の丘』がそれである。主役はアンディ・ガルシア。ガルシアにはスペイン人の血が入っているので、まさに適役だった。ミステリー仕立てになっていて、ロルカを知らない人でも興味をそそられるだろう。

[あらすじ]

 ストーリーはこうだ。

 1934年、内戦勃発直前のスペイン。同郷のロルカに傾倒していた14歳の文学少年リカルドは親友のホルヘを誘ってマドリッドまでやってきた。ロルカの最新戯曲の「イェルマ」が舞台にかかっていたからだ。だがその内容は王党派の保守的な道徳を批判するものだったため、ファシストの一団が妨害に現れる。それを追い返したロルカにリカルドはさらに傾倒し、楽屋に忍び込んで詩集にサインしてもらう。

 ロルカは少年に「僕を忘れないで」と、自分の死を予兆するような言葉を発して去るのだった。

 その2年後、リカルドはロルカがグラナダに帰郷していると聞き、ホルヘとともに会いに行こうとする。その日の午後5時、フランコ将軍率いる反乱軍が蜂起した。ホルヘは反乱軍の銃弾を胸に受けて死んだ。リカルドはそれが自分のせいだと責める。棺にロルカの詩集を入れると、ホルヘの父親は怒ってそれを捨て去った。その時作者のロルカも虐殺されていたとは知る由もなかった。

 18年後の1954年、プエルトリコで新聞記者になったリカルドは、ロルカ虐殺の真相を探ろうと故郷に帰ってくる。父はフランコ軍に捕まる危険があるからと引き止めるがムダだった。リカルドにとってロルカ暗殺の真相を知ることは親友ホルヘに対する供養でもあったのだ。

 調査してゆくうちに、ファシストながらロルカを匿った男や、懇意にしていた売春婦、それにジプシーなどの友人の存在に突き当たる。そしてロルカを最後に見たのが闘牛士のガビーノだと知り、彼を探していると公安警察に逮捕されてしまう。リカルドはずっと行動が監視されていたのだ。

 しかしなんとか獄中から脱出したリカルドは、敬愛するロルカが1936年8月19日の未明、ビスナールの丘のオリーブの木の側で銃殺されたことを聞き出し、そしてようやくロルカ暗殺の意外な真相を知るのだった――。

 劇中では有名な詩「イグナシオ・サンチェス・メヒーアスを悼む歌」がナレーションふうに、まるで風にながされる空気のように読まれる。「午後の五時」は28回リフレインされて朗読されるのが印象的だ。

寝台の車輪付きのひつぎ
午後の五時
骨とフルートとが彼の耳の中で鳴り響く
午後の五時
牡牛がすでに彼の額でないていた

 中でも「午後きっかりの五時だった/ひとりの子供が白いシーツを持ってきた/午後の五時/石炭が一籠もう用意された/午後の五時/あとは死を 死を待つだけになっていた」(小海永二訳「ロルカ詩集」から)という部分が、銃殺されるロルカの死を象徴していて、印象的だ。事実は分からないが、この詩に出てくる「午後5時」というのは、反乱軍のファシストたちがグラナダで蜂起した時間を指すことに違いないから、その日の夜中に殺されるまでの短時間に、即興的に作られた作品ではないのか。

 ロルカはまた、あのダリが嫉妬したほど絵もうまかったと言われている。

 また、ロルカについては、スペインではフランコ総統が死去するまで、彼に関する本はすべて発禁とされ、語ることも許されなかった。したがって、近年になってようやくその全貌が研究者の手によって明らかにされてきたのだ。



第36回●鈴木志郎康(1938〜)

第35回●吉増剛造(1939〜)

第34回●塔和子「風の舞〜闇を拓く光の詩」

第33回●田村隆一「恋の罪」

第32回●高村光太郎「智恵子抄」

第31回●室生犀星作品『あにいもうと』

第30回●宮沢賢治その3〜「グスコーブドリの伝記」

第29回●宮沢賢治、その2「モンスターズクラブ」

第28回●宮澤賢治、その1「わが心の銀河鉄道〜宮澤賢治物語」

第27回●紫式部(生没年不詳)

第26回●西條八十「人間の証明」

第25回●野口雨情(1882〜1945)

第24回●金子みすゞ(1903〜1930)

第23回●日本映画編「寺山修司」

第22回●ホルヘ・ルイス・ボルヘス「デス&コンパス」

第21回●マルグリット・デュラス「インディア・ソング」

第20回●シルヴィア・プラスの『シルヴィア』とテッド・ヒューズ

第19回●エドガー・アラン・ポーの『大鴉』から

第18回●パゾリーニの作品群

第17回●T・S・エリオット『愛しすぎて〜詩人の恋』

第16回●ウォルター・ホイットマン「いまを生きる」

第15回●R・M・リルケ

第14回●エミリー・ディキンソン「ソフィーの選択」

第13回●ランボー&ヴェルレーヌ『太陽と月に背いて』

第12回●プーシキン『オネーギンの恋文』

第11回●コールリッジ『愛と哀しみの果て』

第10回●E・E・カミング『ハンナとその姉妹』

第9回●W・H・オーデン『フォー・ウェディング』

第8回●チャールズ・ブコウスキー『酔いどれ詩人になるまえに』

第7回●パブロ・ネルーダ『イル・ポスティーノ』

第6回●ヨハン・ゲーテ『ゲーテ〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」』

第5回●ジョン・キーツ『ブライトスター いちばん美しい恋の詩(うた)』

第4回●イエーツ『ノーカントリー』と『ミリオンダラー・ベイビー』

第3回●ウイリアム・ワーズワース『草原の輝き』

第2回●フェデリコ・ガルシア・ロルカ『ロルカ暗殺の丘』

第1回●ジャン・コクトー『詩人の血』


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