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第28回●宮澤賢治、その1「わが心の銀河鉄道〜宮澤賢治物語」

 では次に我らが宮澤賢治について語ろう。賢治は(1896〜1933)は明治29年、岩手県稗貫郡里川口村(現・花巻市)に、質と古着商を営んでいた宮澤政次郎とイチの長男として生まれている。

 弟・清六、妹にトシとシゲ、それにクニがいる。

 賢治の生まれる2か月前、今回の東日本大震災のような大地震「三陸地震津波」が発生し、東北地方に甚大な被害があった。

 小学校時代から童話が好きで鉱物採集に夢中だったという。1909年、旧制盛岡中学に入学するが、寄宿舎への反対運動をおこなったことにより退学させられる。1915年に盛岡高等農林学校(現・岩手大学農学部)に主席で入学を果たす。このころから同人誌「アザリア」を親友・保坂嘉内らと創刊し作品を発表し始める。

 1921年には上京し本郷菊坂に下宿。24年「春と修羅」を自費出版。故郷に帰ってからは農業の指導に奔走している。

 1931年、「雨ニモマケズ」を書く。33年、急性肺炎で死去。享年37歳だった。死の直前まで農民と肥料の話をしていたという。

 賢治は生涯独身だった。これは若い時に肋膜炎になって自分が長生きできないと思っていたらしいことと関係があるだろう。しかし岩手病院の看護婦に恋心を抱いていたことや、伊豆大島で農業の指導をした際、相手の妹とお見合いまでしていたらしいことが分かっている。

 1916年、農林学校の寮の親睦会で劇をやることになった。賢治は「全知全能の神ダークネス」役を演じて、それが大評判になったというエピソードも残っている。

 さて映画だが、96年、大森一樹監督、緒形直人、水野真紀主演で「わが心の銀河鉄道〜宮沢賢治物語」というのがある。これは完全な伝記映画で、作品よりも人物にスポットライトを当てている。生誕100年を記念したもので賢治の半生を描いている。途中でアニメーションも混ざって面白い作りに。

 [あらすじ]

 物語は大正6年、盛岡高等農学校の学生だった賢治は、いつも父の政次郎と衝突ばかりしていた。それというのは正義感の強い賢治にとって父の強欲さ、思いやりのなさに腹をたてていたからだ。

 家は質屋を商いにしていた。貧しい人が質入れに来て、どうかもっと貸してくださいとお願いしてもわずかなお金しか貸さないからだ。しかし父は「自分はいいことをしたと思っていても、それが人のためにならないことだってあるのだ」と諭す。

 ある日親友の保坂嘉内が問題を起こし学校を追放処分となった。賢治は「いつか専門の農学校を作ろう」と励ましあって別れた。

 東京の女子大に通っていた妹のトシは元来体が弱かったが、そのトシが肺炎で倒れたとの知らせが届き、賢治は母と急遽東京に向かう。賢治の妹思いは有名で、何かにつけて心配ばかりしていたのだが、遠く離れて暮らしていると、兄妹の絆はいっそう強くなるのだった。

 そんなこともあって、賢治は大正9年に上京する。それは信じていた法華教の国柱会に入信するためでもあった。東京では印刷工場で働きながら、布教と執筆を続けていた。しかし久しぶりに再会した保坂とは、意見が食い違い対立するばかり。賢治は苦しみながらも花巻へ帰る決心をする――。

 緒形直人の賢治が、サラリとしてあまり熱血漢に見えないのが玉にキズ? だし、水野真紀のトシも健康すぎる。だが父・政次郎役の渡哲也はやはり押し出しがよく、頑固な昔のオヤジというのがサマになっている。

 ほかには母親・イチが星由里子、保坂が椎名桔平で妥当な配役か。

 賢治の詩集に「春と修羅」(第一集)があるが、その中で「くらかけの雪」という作品がある。賢治の弱った心を浮き彫りにしているようだ。

たよりになるのは
くらかけつづきの雪ばかり
野はらもはやしも
ぽしやぽしやしたり黝んだりして
すこしもあてにならないので
ほんたうにそんな酵母のふうの
朧なふぶきですけれども
ほのかなのぞみを送るのは
くらかけ山の雪ばかり
(ひとつの古風な信仰です)

 賢治のまだ若い頃の作品だが、諦念がそこはかとなく漂って、人生に行き詰っている感じが伝わってくる。この映画の中では、詩に対しての志を特に強調する場面はないが、理想と現実の違いに苦しんでいることがよくわかる。

いかりのにがさまた青さ
四月の気層のひかりの底を
唾し はぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ

 と呟くように深い怒りを静かに、しかし怒髪天を突く言いざまで、悲嘆したものはなんなのか。理想郷を銀河鉄道に見た青年がもし今も生きていて、大震災に見舞われた故郷・花巻の無残な姿をみたならば、どう嘆こう。

 しかしこうしてみると映画の本数の上でも外国に比べると圧倒的に少ない。日本では詩人は冷遇されているということがここでも分かります。文科省、もっと援助しろ!といいたい。いやいや、権力者による庇護なんて詩人には我慢ができないことかも?


第36回●鈴木志郎康(1938〜)

第35回●吉増剛造(1939〜)

第34回●塔和子「風の舞〜闇を拓く光の詩」

第33回●田村隆一「恋の罪」

第32回●高村光太郎「智恵子抄」

第31回●室生犀星作品『あにいもうと』

第30回●宮沢賢治その3〜「グスコーブドリの伝記」

第29回●宮沢賢治、その2「モンスターズクラブ」

第28回●宮澤賢治、その1「わが心の銀河鉄道〜宮澤賢治物語」

第27回●紫式部(生没年不詳)

第26回●西條八十「人間の証明」

第25回●野口雨情(1882〜1945)

第24回●金子みすゞ(1903〜1930)

第23回●日本映画編「寺山修司」

第22回●ホルヘ・ルイス・ボルヘス「デス&コンパス」

第21回●マルグリット・デュラス「インディア・ソング」

第20回●シルヴィア・プラスの『シルヴィア』とテッド・ヒューズ

第19回●エドガー・アラン・ポーの『大鴉』から

第18回●パゾリーニの作品群

第17回●T・S・エリオット『愛しすぎて〜詩人の恋』

第16回●ウォルター・ホイットマン「いまを生きる」

第15回●R・M・リルケ

第14回●エミリー・ディキンソン「ソフィーの選択」

第13回●ランボー&ヴェルレーヌ『太陽と月に背いて』

第12回●プーシキン『オネーギンの恋文』

第11回●コールリッジ『愛と哀しみの果て』

第10回●E・E・カミング『ハンナとその姉妹』

第9回●W・H・オーデン『フォー・ウェディング』

第8回●チャールズ・ブコウスキー『酔いどれ詩人になるまえに』

第7回●パブロ・ネルーダ『イル・ポスティーノ』

第6回●ヨハン・ゲーテ『ゲーテ〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」』

第5回●ジョン・キーツ『ブライトスター いちばん美しい恋の詩(うた)』

第4回●イエーツ『ノーカントリー』と『ミリオンダラー・ベイビー』

第3回●ウイリアム・ワーズワース『草原の輝き』

第2回●フェデリコ・ガルシア・ロルカ『ロルカ暗殺の丘』

第1回●ジャン・コクトー『詩人の血』


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